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長野・東御の草如庵のランチレポ!築160年古民家で味わう摘み草料理が五感で楽しむアートだった

「美味しい」という言葉だけでは、到底表現しきれない。

長野県東御市(とうみし)の里山にひっそりと佇む日本料理店「草如庵(そうじょあん)」。母の誕生日祝いに訪れたこの場所は、単なる食事処ではありませんでした。

それは、築160年の古民家という空間、店主が自ら山で摘むという旬の恵み、そして隅々まで行き届いたおもてなしが一体となり、五感を優しく揺さぶる「体験」そのもの。

今回は、都会の喧騒を忘れさせてくれる、その特別な時間についてレポートします。

そもそも「摘み草料理」とは?山の恵みをいただく雅な食文化

「草如庵」を語る上で欠かせないのが、その料理の根幹をなす「摘み草料理」です。この言葉、初めて聞く方も多いかもしれません。単に「野草を食べること」と想像するかもしれませんが、その世界はもっと奥深いものです。

摘み草料理は、京都の奥座敷・花背(はなせ)にある名旅館「美山荘」が標榜し、文化人たちに愛される中で磨き上げられてきた料理スタイル。その原点は、主人が自ら野山に入り、その季節に芽吹くつくし、ふきのとう、よもぎといった山野草や、川魚、きのこなどを摘み、採り、その生命力を最大限に活かして美しく調理することにあります。

自然への深い敬意と知識、そして洗練された技術が融合した、まさに「野趣と風雅」を併せ持つ日本料理なのです。

「目の前にある山菜を採って食べる。…じつは、それが一番の贅沢なおいしさなのではないかと思います」

「草如庵」の店主・山田勉氏は、この摘み草料理の総本山である「美山荘」で長年修行を積んだ方。信州の豊かな自然を舞台に、その哲学を受け継ぎながら、独自の料理世界を築き上げています。

だからこそ、ここでいただく一皿一皿には、単なる食材ではない、信州の自然そのものの息吹が感じられるのです。

【訪問レビュー】五感で味わう、感動のランチコース体験

カーナビを頼りに細い道を進むと、趣のある看板が見えてきます。

車を停め、入り口へと続く小道を進むと、そこには時が止まったかのような空間が。

もともと養蚕農家だったという築160年の古民家は、ただ古いだけでなく、手入れの行き届いた風格を漂わせています。

趣のある古民家の入り口。
お店入り口にある注意書き

のれんをくぐれば別世界。築160年の古民家が醸し出す静謐な空気

重厚な梁や柱が印象的な店内は、ほのかにお香と檜の香りが満ちていて、入った瞬間から心がすっと静かになるのを感じました。

昔ながらの土間玄関。ここからは靴下必須です。
土間を抜けて振り返ると、庭の緑が一面に広がるくつろぎの間が。
この古民家に昔からあるという、とても大きく立派な神棚も目を惹きます。
壁には「花意竹情(かいちくじょう)」の4文字が。
自然の美しさや気品を称える意味合いのこの言葉は
自然の恵みをいただける草如庵にピッタリな言葉だと感じます。

そして、通されたのは、庭の緑が美しい座敷。

席に着くだけで、これから始まる食事への期待感が高まります。

ここは間違いなく「写真映え」する空間ですが、シャッター音を響かせるのがためらわれるほど、静かで神聖な雰囲気。まずはこの空気を心ゆくまで味わうのがおすすめです。

次のページへ:いよいよ、感動のコースが幕を開ける(6,600円コース)

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