人気ラブブ偽物に発がん性物質“344倍”検出 「アブブじゃん」警戒広がる

世界的な人気キャラクター「ラブブ(LABUBU)」のキーホルダー。その偽物から、安全基準を最大344倍も上回る発がん性物質が検出されたというニュースが、多くの人々に衝撃を与えている。韓国関税庁が2025年11月5日に発表したこの事実は、SNSを通じて瞬く間に拡散。「可愛い」の裏に潜む危険性に、不安と警戒の声が広がっている。
衝撃の検出結果―「可愛い」に潜む毒
問題の核心は、その危険な数値にある。韓国関税庁が市場から購入したラブブの偽物キーホルダー5点を分析したところ、そのうち2点から有害な化学物質が驚くべき濃度で検出された。報道によれば、プラスチックを柔らかくするために使われる可塑剤(DEHP)が、韓国の国内安全基準の344倍に達していたという。
それだけではない。他の偽物アクセサリーの調査では、鉛が基準値の4,627倍、カドミウムが120倍という、耳を疑うような数値も報告されている。これらの物質は、国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対して発がん性のある可能性がある物質(グループ2B)」に分類されている。世界保健機関(WHO)は、特に鉛は子どもの脳の発達に深刻な影響を及ぼす可能性があると警告しており、安全な摂取量はないとされている。単なる模倣品というレベルを超え、公衆衛生を脅かす深刻な問題だ。
なぜ偽物は溢れるのか? 越境ECとSNSの影
これほど危険な偽物が、なぜ私たちの身近にまで迫っているのか。その背景には、海外のECサイトから直接商品を購入する「越境EC」の急増や、SNSを通じたライブコマースの普及がある。韓国関税庁は、2025年上半期だけで約60万点もの知的財産権を侵害した偽物を摘発したと発表しており、その多くがこうしたルートで流入していると見られる。
「安く、そして早く手に入れたい」。その消費者の純粋な欲求が、皮肉にも偽物業者の格好のターゲットとなっている。特にラブブのような世界的な人気商品は、公式ルートでは即完売し、入手困難な状況が続く。その隙を突くように、偽物業者はSNS広告などを駆使して消費者を偽サイトへ誘導するのだ。
韓国関税庁のイ・ミョング庁長は、「海外からの直接購入は今年2億件に達すると予想される」と述べ、ブラックフライデーや独身の日といった大規模セールを前に、取り締まりを強化する方針を示している。しかし、その流通網はあまりに巨大で、いたちごっこの様相を呈しているのが実情だ。
SNSでは「アブブじゃん」―不安とユーモアの拡散
この衝撃的なニュースは、X(旧Twitter)などのSNSで瞬く間にトレンドとなった。「344倍」という数字のインパクトは絶大で、多くのユーザーが反応。「ラブブ」と「危ない」をかけた「アブブ」や「毒ラブブ」といった秀逸な造語が飛び交い、不安をユーモアで包みながら拡散されていった。
この問題は、一般のファンだけでなく、有名人にも及んでいる。歌手のBoAや、人気アイドルグループILLITのウォンヒ、BTOBのソンジェらが、相次いでラブブの偽物被害をSNSで告白。彼らの投稿は、偽物が決して他人事ではなく、すぐそこにある危機であることを多くの人々に知らしめた。
「偽物なら責任を取って」と、購入したプラットフォームに怒りを表明したBoA。箱は本物そっくりだったのに中身が偽物だったと悔しさをにじませたウォンヒ。彼らの生の声は、ファンの間に大きな波紋を広げている。
あなたのラブブは大丈夫? 安全に楽しむための自衛策
では、私たちはどうすればこの危険から身を守れるのだろうか。専門家は、まず「公式ルート」での購入を徹底するよう呼びかけている。POP MARTの公式サイトや直営店、正規取扱店以外での購入、特に価格が異常に安い商品には注意が必要だ。
フリマアプリなどで購入する際は、出品者に購入ルートを確認したり、細部の写真を追加で要求したりするなど、慎重な姿勢が求められる。可愛いキャラクターを安全に楽しむためには、私たち消費者一人ひとりの自衛意識が不可欠となっている。
本物と偽物の見分け方
100%確実ではないが、多くのファンや情報サイトが指摘する見分け方のポイントがいくつかある。手元のラブブが心配な方は、一度確認してみてほしい。
- 歯の本数を数える:最も確実な方法とされるのが歯の数だ。本物のラブブの歯は9本。それより多い、または少ない場合は偽物の可能性が高い。
- QRコードで認証する:本物の商品には、外箱やタグにQRコードが付いている。これをスキャンすると、POP MARTの公式認証ページに繋がる。不審なサイトに誘導されたり、読み取れなかったりする場合は要注意だ。
- 足裏の刻印を確認する:本物には足の裏などに「© POP MART」やデザイナー名「© Kasing Lung」といった刻印が鮮明に記されている。刻印がない、または文字が不鮮明なものは偽物の疑いがある。
- 品質をチェックする:外箱の印刷が粗かったり、ぬいぐるみの縫製が雑だったり、化学的な異臭がしたりする場合も注意が必要だ。
「可愛いから」というだけで安易に手を出すのではなく、その製品がどこから来たのか、信頼できるものなのかを一度立ち止まって考える。それが、私たち自身と大切な人を守るための第一歩となるだろう。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

































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