「歩道も車道も走れない!」自転車に青切符導入にSNS賛否 “まず道路整備を”の声も
SNSで噴出する賛否の声―「インフラ整備が先」という叫び
このニュースが報じられると、XなどのSNSは瞬く間に賛否両論の意見であふれかえった。危険な自転車運転に日々悩まされていた歩行者やドライバーからは、「当然だ」「もっと厳しくすべき」といった賛成の声が上がる。
しかし、それ以上に目立つのが、規制強化への反発や懸念の声だ。特に「歩道通行」に6,000円の反則金が科されることに対しては、批判が集中した。「車道が危険だから仕方なく歩道を走っているのに」「子どもを乗せて車道を走れというのか」。こうした悲鳴にも似た声は、多くの自転車利用者の本音だろう。
この問題は、警察庁が実施したパブリックコメント(意見公募)でも浮き彫りになった。寄せられた約5,900件の意見のうち、実に4,000件近くが歩道通行に関するものだったという。
歩道走行の禁止に文句を言う人が見られますが、車道で自転車で走るのが危険な区間は、降りて歩道を押して通行すればいいだけですよ。
自転車の歩道通行に罰金6000円か…。罰則を設ける前に、自転車が安全に走れる専用レーンを整備するのが筋じゃないのか?今の日本の道路事情で「車道を走れ」はあまりに酷だ。
専門家が鳴らす警鐘―罰則強化だけでは解決しない根深い問題
こうした世論の反発に対し、専門家からも慎重な意見が出ている。自転車評論家の疋田智は、「現状の道路インフラの課題を解決しないかぎり、『自転車は車道』は実現しない」と断言し、罰則強化の前にインフラ整備が不可欠だと指摘する。
日本の道路は、そもそも自転車が安全に走行することを前提に設計されていない場所が多い。そんな中でルールだけを厳格化すれば、利用者が行き場を失うのは目に見えている。警察庁もこうした批判を意識してか、「事故につながるような危険な場合に重点を置いて取り締まる」との方針を強調しているが、現場の判断基準が曖昧だという新たな懸念も生まれている。
実際の取り締まりの様子は、以下のニュース映像からも垣間見える。
安全と現実の狭間で
制度開始まで半年を切った今(2025年10月6日現在)、自転車を取り巻く議論は熱を帯び続けるばかりだ。取材中にも、イヤホンで耳を塞ぎ、猛スピードで赤信号の交差点に突っ込んでいく自転車を何度も見かけた。そのたびに、安全確保の必要性を痛感する。しかし同時に、狭い車道で大型トラックに追い立てられ、おびえながら走る利用者の姿も目にする。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]
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