「公平なのか?」世界に広がる驚きと議論
この報酬格差は、世界中のファンやメディアに衝撃を与え、SNS上では様々な声が上がった。まるで宝くじの当せん金のような金額に、純粋な驚きを示すコメントが溢れた。
カネロ 1億5000万ドル(約217億円) クロフォード 5000万ドル(約72億円) でもボクサーとしての価値はカネロはクロフォードの1/3以下だよね。
上記のように、金額差とボクサーとしての実力評価を結びつけ、皮肉を込めて語るファンも少なくない。
なぜこれほどの差が生まれるのか
では、なぜこれほどの報酬格差が生まれるのか。それは、現代プロボクシングが持つ興行としての側面を理解すると見えてくる。
カネロは単なる一人のボクサーではなく、莫大な観客動員力と視聴数を稼ぎ出す「興行の主役(Aサイド)」である。彼がいるからこそ、巨額の放映権料やスポンサーマネーが動く。いわば、カネロはパーティーの主催者であり、対戦相手はそのパーティーに招待されるゲストのような立場だ。クロフォードほどの超一流選手であっても、この構図は変わらない。
クロフォード自身も、その現実を冷静に受け止めている節がある。「結局は金だ」と語ったとされる彼の言葉は、アスリートとしてのプライドと、プロフェッショナルとしてのビジネス感覚が同居する、ファイターの偽らざる本音なのかもしれない。
金額を超えた戦いの価値
札束が飛び交うリングの外の狂騒とは裏腹に、ゴングが鳴れば、そこにあるのは純粋な実力と実力のぶつかり合いだ。クロフォードは2階級も上の王者に挑むという、計り知れないリスクを背負ってリングに上がった。そして、見事にカネロを打ち破り、4団体統一王座を奪取するという歴史的偉業を成し遂げた。
この衝撃的な結末は、試合前にあれほど騒がれた報酬格差を巡る議論に、新たな一石を投じることになった。金額の多寡が、必ずしもリング上での価値を決定づけるわけではない。そのことを、クロフォードは身をもって証明して見せたのである。この一戦がボクシング史に刻まれる理由は、その天文学的なファイトマネーだけでなく、報酬格差という現実を乗り越えて生まれたドラマにもあるのだろう。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]
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