加速するシニアのSNS利用と、新たな潮流
データが示す「消齢化」のリアル
近年の調査データは、この潮流を裏付けている。2025年1月に行われた調査によれば、60代の9割、70代の7割が何らかのSNSを利用しているという。かつては家族や旧友との連絡手段(LINEなど)が主目的だったが、今やその状況は大きく変化している。
特に注目すべきは、情報収集や学習、趣味のためにSNSを活用するシニア層の増加だ。ある調査では、50代・60代女性がSNSを利用する目的として「新たな知識を得るため」「トレンド・話題のものを知るため」が上位に挙がった。これは、かつてテレビや新聞が担っていた役割を、SNSが代替し始めていることを示唆している。専門家は、こうしたライフスタイルや価値観が年齢によって定義されにくくなる現象を「消齢化」と呼び、Z世代とシニア層の間に意外な共通点が見られると指摘する。
「宇宙人」が投げかける、未来への問い
新たな「居場所」か、それとも「リスク」か
大地が扮する「宇宙人」は、未知のデジタル世界を探求する現代シニアのメタファーとも捉えられる。そして、彼女が放つ「そこに愛はあるんか」という問いは、このデジタル社会に真のつながりや自己実現の場はあるのか、という根源的な問いとして我々に響く。
もちろん、光があれば影もある。デジタルデバイド(情報格差)や、シニアを狙ったネット詐欺は依然として深刻な社会問題だ。しかし一方で、SNSが孤独感の軽減に寄与するという研究結果もあり、新たなコミュニティ形成の場としての可能性は計り知れない。
こうしたニーズに応えるように、「趣味人倶楽部」や「らくらくコミュニティ」といった、安全性やシンプルな操作性を重視したシニア向けSNSも登場し、独自の生態系を築いている。これらは、デジタル社会における新たな「居場所」を求めるシニア層にとって、重要な受け皿となっているのだ。
まとめ
大地真央の「宇宙人」投稿は、単なる芸能ニュースではない。それは、驚くべき速さでデジタル化する社会と、その中でしなやかに、そしてしたたかに自らの立ち位置を再定義しようとするシニア世代のリアルな姿を映し出す、一つの文化的象徴である。
彼女が問いかけた「そこに愛はあるんか」。その答えは、私たちがこれから、年齢に関わらず誰もが安心して参加でき、豊かさを見出せるデジタル社会を構築できるかにかかっている。大地真央の挑戦は、その未来に向けた、痛快で示唆に富んだエールなのかもしれない。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]
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