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『国宝』から『鬼滅の刃』まで!2025年映画ヒットの裏側は”原作力”と”俳優力”の融合だった

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

2025年7月、日本の映画界は、二つの巨大なヒット作によって熱気に包まれている。一つは、もはや国民的アニメと呼ぶにふさわしい『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』。もう一つは、観客の心を静かに、しかし確実に震わせている実写映画『国宝』だ。ジャンルも表現方法も異なる両作品だが、そこにはある共通した成功の法則が浮かび上がる。それが、圧倒的な「原作力」と、それを最大限に生かす「演者の力」の融合による、創造的な化学反応である。

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『鬼滅の刃』が叩き出した、異次元のスタートダッシュ

最初に話題を独占したのは、7月18日に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の興行成績だ。公開からわずか4日間で興収は73億円を突破し、歴代記録を打ち立てた前作『無限列車編』のスタートダッシュすら上回る驚異的なペースを見せた。人気の持続どころか、むしろさらなる熱量を獲得している。

この爆発的ヒットの背景には、原作の中でも特にファンの支持が厚い「無限城編」の映像化への強い期待がある。しかし、それだけではこの熱狂は語り尽くせない。制作を手がけるufotableによる緻密で迫力ある映像美、そして花江夏樹ら声優陣による魂のこもった演技が、その魅力を一層引き立てている。とりわけ、敵役・猗窩座(あかざ)の過去に焦点を当てた描写は、多くの観客の涙を誘ったとされ、原作の感情をさらに増幅させる形となった。

その圧巻のクオリティは、公式サイトで公開されている映像や情報からも一端を体感できる。ファンに限らず、多くの観客を惹きつけてやまない完成度の高さが、社会現象化の原動力となっている。
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 』第一章 猗窩座再来』 公式サイト

静かに広がり、確かな爪痕を残す『国宝』

対照的に、静かに話題を集めながらも着実に存在感を強めているのが、実写映画『国宝』だ。6月6日の公開以降、口コミを中心に注目が集まり、49日間で興収71.7億円を突破。配給元である東宝は、100億円の大台も視野に入れていると発表している。アニメ作品以外でこの数字に到達するのは、近年の邦画においては極めて稀だ。

本作の成功もまた、「原作」と「俳優」という二つの要素に強く支えられている。原作は作家・吉田修一による小説で、著者自身が歌舞伎の舞台裏を実際に経験して描き上げたリアルな世界観が魅力。累計発行部数は120万部を超えるベストセラーとなっている。

その世界観を体現するのが、主演の吉沢亮と横浜流星。特に、長期間にわたる稽古を経て挑んだ女形の演技は、本職の歌舞伎役者にも引けを取らないと評され、観客に強い印象を残した。単なるアイドル的な人気にとどまらず、「演者としての本質的な力」を証明したことで、普段映画館を訪れない層からの支持も集めた。

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