工藤公康、中日新監督に就任へ 加藤球団社長「投手陣の立て直しがまず最優先」、監督成績はソフトバンク7年で日本一5度

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中日ドラゴンズの来季監督に、元ソフトバンク監督の工藤公康(63)が就任する見通しとなった。加藤宏幸球団社長が10月8日、名古屋市内の球団事務所で取材に応じ、「合意は得ている。あとは正式な契約を残す状態です」と説明した。球団が工藤に伝えた課題のひとつは「投手陣の立て直しがまず最優先」。ソフトバンクを7年率いて日本一5度の実績を持つ指揮官に、6年連続Bクラスのチームの再建を託す。
10月に複数回の面会、正式契約と就任会見はこれから
加藤社長によると、井上一樹監督の辞任を受けて後任を検討し、10月に入ってから工藤と複数回会って就任を要請した。球団は複数年契約を提示する見込みで、今後、正式契約を結んだうえで就任会見を開く。10月9日時点で、球団公式サイトに監督人事の発表は出ていない。
会見の日程について、加藤社長は「まだ具体的にこの日だというのは決まっていません」と話した。工藤は野球解説などの仕事をすでに多く抱えており、スケジュールの調整が必要になる。10月22日のドラフト会議に新監督として同席できるかも「現時点では不明、不透明」とした。工藤からは、時間がある限り秋季練習や秋季キャンプに顔を出し、現場と話をしたいという意向が伝えられたという。
工藤は現役時代も指導者としても、中日のユニホームを一度も着たことがない。中日で選手やコーチの経験がない完全な外部招へいは、1984年の山内一弘以来となる。ここ数年の監督は球団OBが続いており、29代目の監督は異例の人選だ。
加藤社長はその理由を、球団OBを否定するものではないと前置きしたうえで「今のチームに何が必要かということを考えた時に、次は外部から、しかも経験があって、知見もあって、それをドラゴンズという球団に注入してくれる方が一番現状としてはいいだろうという判断になり」と明かした。工藤は名古屋市出身で、名古屋電気高(現・愛工大名電高)のOBでもある。だが加藤社長は、地元出身が決め手になったわけではないと強調し、「結果的に、あ、そういえば名電だったね、ということです」と話した。
「投手陣の立て直しがまず最優先」発言の中身
タイトルの言葉が出たのは、球団が工藤に何を求めたかを問われた場面だった。加藤社長はまず「次の100年に向けて、強固なチーム作りをしてほしい」と依頼したと説明し、直近の目標に話を移した。
「まず最低でもAクラスとかっていうことを考えた時に何をやらなきゃいけないか。これは投手陣の立て直しがまず最優先であるということで」。続けて、工藤の現役時代の実績と指揮官としての経験値が「非常には大きいポイント」になったと語っている。中日は2036年に球団創設100年を迎える。長い目標を掲げながらも、加藤社長は「正直言うと結果は欲しいんですよ」と本音ものぞかせた。
では、中日の投手陣はどんな状態にあるのか。
NPBの公式記録によると、2026年のチーム防御率は3.28で、セ・リーグ6球団の4位だった。1位の阪神は2.79、2位の巨人は2.80で、上位2球団とは0.5点近い開きがある。被本塁打118はリーグで2番目に多く、ホールドは90、セーブは31でどちらもリーグ最少。先発陣は12球団でも上位の顔ぶれと評価される一方、リードを保って白星につなげる継投の部分では、他球団に後れを取ったことが数字に表れる。逆転負けは40試合に上った。
得点と失点の差も見ておきたい。今季の総得点は478、総失点は494で、差は16点にとどまる。それでも最終的な借金は21だった。得失点差のわりに負けが込んだシーズンだった。本拠地では38勝33敗と勝ち越した一方、敵地では22勝48敗2分けと大きく負け越した。
井上監督の辞任と、2年ぶりの最下位
井上一樹監督は9月29日、全体練習の後に報道陣の前で「あと2試合をもって僕は辞めます」と辞任を表明した。成績不振の責任を取る決断で、10月3日のヤクルト戦が最後の采配になった。
関連記事:中日・井上一樹監督が今季限りで辞任「あと2試合をもって僕は辞めます」 借金21の最下位、次期監督の人選は議論中
中日の今季成績は143試合で60勝81敗2分け、勝率.426。5位ヤクルトとの争いは最終盤までもつれたが、10月8日にヤクルトが阪神に勝ってセ・リーグの全日程が終わり、1ゲーム差で2年ぶり10度目の最下位が決まった。首位阪神とは19ゲーム差。
井上監督の2年間は、1年目の2025年が63勝78敗2分けで4位、2年目が最下位で、通算123勝159敗4分けだった。チームは6年連続のBクラスで、リーグ優勝は2011年が最後になっている。CS進出も2012年を最後に遠ざかる。
後任の候補として、10月5日には工藤の名前が有力候補として報じられていた。そこからわずか3日で、球団社長が合意を認めるところまで話が進んだ。
関連記事:工藤公康、中日の次期監督有力候補と日刊スポーツ報道 ソフトバンク監督7年で日本一5度、名古屋電気出身63歳の経歴
ソフトバンク7年で日本一5度、年度別の監督成績
工藤は2015年から2021年までの7年間、ソフトバンクの監督を務めた。リーグ優勝は3度、日本一は5度。2017年から2020年にかけては4年連続で日本一になっている。
| 年 | 順位 | 勝敗(勝率) | ポストシーズン |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 1位 | 90勝49敗4分(.647) | CS突破、日本シリーズ4勝1敗でヤクルトを下し日本一 |
| 2016年 | 2位 | 83勝54敗6分(.606) | CSファイナルステージで日本ハムに敗退 |
| 2017年 | 1位 | 94勝49敗0分(.657) | CS突破、日本シリーズ4勝2敗でDeNAを下し日本一 |
| 2018年 | 2位 | 82勝60敗1分(.577) | CS突破、日本シリーズ4勝1敗1分で広島を下し日本一 |
| 2019年 | 2位 | 76勝62敗5分(.551) | CS突破、日本シリーズ4勝0敗で巨人を下し日本一 |
| 2020年 | 1位 | 73勝42敗5分(.635) | CS突破、日本シリーズ4勝0敗で巨人を下し日本一 |
| 2021年 | 4位 | 60勝62敗21分(.492) | CS出場なし |
7年間のレギュラーシーズン通算は558勝378敗42分け。勝率は6割に迫る。2018年と2019年は2位からCSを勝ち上がり、日本シリーズまで制した。リーグ2位でも日本一に届いた2年間は、短期決戦の強さを示している。
一方で、最後の2021年は4位に沈み、CS出場を逃した。この年限りで監督を退いている。
加藤社長が工藤を「勝ち方を知っている方」と評したのは、この実績があるからだ。ソフトバンク時代は、投球や打球の動きを測るトラッキングデータを扱うアナリストを積極的に使い、数値にもとづく練習法で若手を育てた。工藤のもとで育った投手には、育成選手としてプロ入りした千賀滉大(現メッツ)がいる。
224勝左腕の経歴と、昭和式を持ち込まない指導論
工藤は1963年5月5日生まれ、名古屋市出身の左腕。名古屋電気高のエースとして1981年夏の甲子園に出場し、同年のドラフト6位で西武に入った。西武、ダイエー(現ソフトバンク)、巨人、横浜(現DeNA)の4球団で29年間プレーし、通算224勝142敗3セーブを挙げる。現役中に経験したリーグ優勝は14度、日本一は11度に上る。
筑波大大学院には監督就任前の2014年から通い、監督在任中の2020年に修士課程を修了した。ソフトバンクの監督を退いた後の2022年には、同大学院の博士課程に進んでいる。加藤社長は面談の中身にも触れ、工藤が「昭和の野球、昭和の鍛え方」では故障につながるとして、そうした指導は「一切するつもりではありません」と話したと明かしている。
選手への接し方についての考えも伝えられた。工藤は「僕は選手を1年でも長く現役としてやらせてあげたい」と語り、そのためには鍛えることが必要だとしながらも、「それを強制することは一切しません」と付け加えたという。選手と話し合いを重ね、納得したうえで取り組ませる。科学的な根拠を示して練習の意味を伝える方針に、加藤社長は「とても共鳴はいたしました」と語った。
監督という立場をどうとらえているかは、工藤自身が本にまとめている。著書『プロ野球の監督は中間管理職である』は、2024年6月に日本能率協会マネジメントセンターから刊行された。
本格的な指揮は来季、コーチ人事と編成はこれから
課題は、限られた準備期間だ。正式契約と就任会見の日程は決まっておらず、ドラフト会議への同席も見通せない。来季に向けた編成について、加藤社長は球団と工藤がよく話し合って進めると述べ、球団が独断で決めることはないと伝えたという。コーチの人選についても、工藤から多くの要求は出ていないとしたうえで、球団側から人材を提案しながら調整していく考えだ。
加藤社長は個々の選手の能力について「なんとかそろいつつある」と見ている。その才能を伸ばし、試合で勝ちにつなげる。中日のユニホームを着たことのない新監督が最初に向き合うのは、加藤社長が「まず最優先」と位置づけた投手陣の立て直しになる。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]







































































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