井上尚弥を年間最優秀選手の最有力候補とした米ボクシング・シーン記者、「彼は1度しか戦わず、もう今年は試合をしない。」と論評

※この記事には、商品・サービスの広告リンクが含まれています。
時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
米ボクシング専門サイト「ボクシング・シーン」のエリック・ラスキン記者が日本時間5日夜に公開したコラムで、2026年の年間最優秀選手(ファイター・オブ・ザ・イヤー)の最有力候補に井上尚弥を挙げた。ただし5月の中谷潤人戦は「孫に語り継ぐような試合ではない」とし、年1試合で終わることも問題視。コラムは「今年は該当者なしでもいい」と結んでいる。
↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓
「最有力候補」と書きながら下した厳しい評価
コラムのタイトルは「What if we just don’t name Fighter of the Year?」。年間最優秀選手を選ばないという手もあるのでは、という問いかけだ。米東部時間の5日午前、日本時間では5日夜に公開され、東スポWEBが6日に内容を紹介した。
ラスキン記者は、井上を「多くの人にとってのパウンド・フォー・パウンド(全階級を通じた最強ランキング)の王者」と位置づけた。そのうえで、現時点では年間最優秀選手の「おそらく最有力候補」だと書いている。井上に票を入れて文句を言われることはまずない、という理由も添えた。
評価はそこで終わらない。井上の2026年について、コラムはこう続く。
「That’s his 2026. He boxed once and he won’t box again.」
東スポWEBが伝えた訳では「彼は1度しか戦わず、もう今年は試合をしない」。ラスキン記者は「もし年が変わる前にジェシー”バム”ロドリゲスと戦う予定があれば、話は簡単だった」とも書き、そうはなっていない現状を指摘した。
中谷潤人戦は「接戦をきっちり制した判定勝ち」
井上が今年戦ったのは、5月2日に東京ドームで行われたWBA・WBC・WBO・IBF世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチの1試合だけだ。無敗の挑戦者・中谷潤人(28)=M.T=を迎え、116-112、116-112、115-113の3-0判定で4本のベルトを守った。観客は5万5000人と発表され、1990年のマイク・タイソン対ジェームス・ダグラス戦の5万1600人を上回る日本ボクシング史上最多の動員となった。
ラスキン記者はこの勝利を低く見ているわけではない。中谷は無敗で評価が高く、大きな格下と見られていた相手でもなかった。そのうえで井上の内容を「おおむね期待どおり」と表現し、「接戦をきっちり制した、勝つに値する判定勝ち」と評価した。
引っかかったのは、試合が後世に残るかどうかだった。コラムは「孫に語り継ぐような試合ではない」と書いている。
文藝春秋の「Number PLUS」は試合前の4月、この一戦を特集した完全保存版を出していた。
年内は試合なし 次戦は来年のロドリゲス戦が視野
井上が年内に試合をしないことは、本人がすでに明かしている。共同通信によると、井上は7月27日、出身地の神奈川県座間市で開かれたイベントの後、年内は試合を行わない考えを示した。
次の相手として想定しているのは、WBA世界バンタム級スーパー王者のジェシー・ロドリゲス(26)=米国=だ。井上は「(来年)2月あたりで、できるならやる」と話している。デイリースポーツによると、ロドリゲス戦が実現しない場合はフェザー級に上げ、5階級制覇を目指す考えも口にした。
ロドリゲスは米専門誌「ザ・リング」のパウンド・フォー・パウンドで4位に入る実力者だ。この試合が年内に組まれていれば、井上の年間最優秀選手は「簡単だった」。ラスキン記者が書いたのは、まさにこの点だった。
ほかの候補も「1勝」止まり
ラスキン記者が挙げた主な候補は、井上を含めて次のとおりだ。
| 候補 | 2026年の主な勝利 | コラム公開時点の状況 |
|---|---|---|
| 井上尚弥 | 5月2日、中谷潤人に3-0判定勝ち | 年内は試合なし |
| シャクール・スティーブンソン | 1月31日、テオフィモ・ロペスに3者119-109の判定勝ち | 2月以降は試合なし |
| デビッド・ベナビデス | 5月2日、クルーザー級でヒルベルト・ラミレスに6回TKO勝ち | 年内にもう1試合するかは未定 |
| ジャロン・エニス | 6月27日、ザンダー・ザヤスに7回TKO勝ち | ジョシュ・ケリー戦が12月か来年1月 |
| ライアン・ガルシア | 2月21日、マリオ・バリオスに3-0判定勝ち/9月12日、コナー・ベンに2回TKO勝ち | 候補で唯一の年2勝 |
ガルシアを除く3人は、いずれも井上と同じく質の高い勝利が1つだけで、2試合目がまだ無い。コラムは「パターンが見えてきたはずだ」と皮肉った。
2試合を戦ったライアン・ガルシアについても、評価は辛い。バリオスは「誰もが相手に選びたがる王者」、ベンは「名前が違えば前座クラス」とされ、相手選びの良さが勝ったのではないかという見方まで紹介している。
10月24日にはエマヌエル・ナバレテとオシャキー・フォスターの統一戦が控える。勝った方が2つ目の好勝利を手にし、ガルシアより上に来る可能性があるとした。
「年1試合でも受賞はあり得る」それでも選ばない理由
ラスキン記者は、年1試合の選手に賞を与えること自体に反対しているわけではない。昨年、2階級上げてサウル・”カネロ”・アルバレスを破ったテレンス・クロフォードは例に挙げられている。45歳で世界ヘビー級王座に返り咲いた1994年のジョージ・フォアマンも同じだ。
条件は、その1試合が「数十年後も語られる」内容であることだという。コラムは、井上対中谷、スティーブンソン対ロペス、ベナビデス対ラミレス、エニス対ザヤスのいずれも、そこには届かないと書いた。
比較に出したのは、ラスキン記者が米専門誌「ザ・リング」の編集者だった1999年の選考だ。このとき同誌はパウリー・アヤラを選んだ。ジョニー・タピアに勝った試合の価値は「井上の中谷戦と同じくらい」としながらも、タピア戦以外に試合がなければ選ばなかっただろう、と振り返った。
背景にあるのは、トップ選手の試合数の少なさだ。コラムは、ファンの期待に応えられず、選手が年に1度しかリングに上がらないなら、なぜ誰かに賞を与える必要があるのかと問いかけている。
結論は「リングの中で誰かが勝ち取るまでは、空位のままにするのが公平だ」。最有力と書かれた井上でさえ、その例外にはならなかった。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]










































































コメントはこちら